ピアスの拡張はホールを大きくするほど痛いですが、真ん中が空洞のピアスが付けられるメリットや独特の存在感から拡張を迷っている人も多いのではないでしょうか。
ある程度のゲージまで拡張すると、真ん中に穴が開いたピアスホールにさらにピアスを通す「ホールトゥホール(ホールトゥピアス)」と呼ばれる変わった付け方もできるようになります。
今回はピアス拡張に絶対必要になるゲージのサイズ一覧表から、拡張方法と注意点を解説していきます。
ピアス拡張の基礎知識
ピアスを拡張するまえに、まずは軽くサイズに関する基礎知識を入れておくとスムーズです。
ピアスのゲージ(太さ)は基本的に20G、18G、16G〜というように数字が2個飛ばしですが、隣り合っているゲージのミリ数は一定間隔ではありません。
小さいゲージのうちは間隔が狭く、拡張を進めるうちにミリ間隔が広くなっていく仕組みです。
拡張ピアスのゲージ・サイズ表
ピアスのゲージは数字が2個飛ばしで、20G〜00Gまでのサイズがあります。20Gが一番細く、数字が小さくなるにつれて大きくなります。
また、00G以降はゲージではなくインチ表記になります。
※拡張器やピアスによって多少サイズ違う場合があります。(商品やサイトによって基準が0.1〜0.5ミリ程度違います)
ゲージ | ミリ |
---|---|
20G | 0.8mm |
18G | 1.0mm |
16G | 1.2mm |
14G | 1.6mm |
12G | 2.0mm |
10G | 2.4mm |
8G | 3.2mm |
6G | 4.0mm |
4G | 5.0mm |
2G | 6.0mm |
0G | 8.0mm |
00G | 10.0mm |
インチ | ミリ |
---|---|
11/32inch | 9.0mm |
7/16Inch | 11.0mm |
1/2Inch | 12.0mm |
5/8Inch | 16.0mm |
3/4Inch | 19.0mm |
7/8Inch | 22.0mm |
1Inch | 25.0mm |
SNSでいろいろな人の拡張ピアスを見ていると、人気なのは00Gと1/2Inch(ハーフインチ)です。
せっかく拡張するなら最後まで大きくしようという気持ちと、00Gまで拡張するとラージホール向けのピアスの選べる幅が広がるというのが理由ではないでしょうか。
拡張ピアスの呼び方
拡張ピアスは「ラージホールピアス」や「ハイゲージピアス」などと呼ばれます。
インスタやツイッターでハッシュタグ「#ラージホールピアス」「#00G」「#ハイゲージピアス」「#拡張ピアス」と検索すると、大きいピアスホールの人たちの投稿写真が見れるので、参考に検索してみるのがおすすめ!
ラージホールにつけるピアス名称・呼び方
拡張したピアスホールにつけるピアスは「プラグ(真ん中に穴がないもの)」「フレッシュトンネル」「アイレット(ラッパ状の広がりがあるピアス)」などがあります。
アイレットには「シングルフレア」と「ダブルフレア」があります。「フレア」とはラッパ状の広がりのことを指しています。
シングルフレアはうしろ側が真っ直ぐになっているため、抜けないようにうしろをゴムリング(オーリング)で固定して付けます。
ダブルフレアは両側がラッパ状になっているため、皮膚を軽く引っ張って伸ばしながら着脱します。
未完成のホールや、ダブルフレアの着脱が苦手な人にはネジ式のダブルフレア風アイレットがおすすめ!
ピアス拡張器(エキスパンダー)の種類
拡張器には主にアクリルとステンレスの2種類があります。
対応したゲージでその都度買う方法もあれば、通販だと20G〜00Gくらいまでセットで売っているものがあります。一個ずつ買って様子を見ても良し、ある程度拡張するならまとめ買いが安いです。
アクリル拡張器のメリット
- ステンレスに比べて軽い
- 単価が安い
- 渦巻タイプも選べる
- 色や柄が選べる
ステンレス拡張器のメリット
- アクリルより滑りがいい(拡張しやすい)
- 拡張後にピアスと連結できるタイプがある
- アクリルより丈夫で傷つきにくい
- アルコールや熱消毒が可能
拡張器は次のゲージに移ったらほぼ使い捨てになるので、金銭的な負担はアクリルの方が少ないです。さらに軽いので、拡張後しばらくつけていても耳に負担が少ないです。
ステンレス拡張器はアクリルより滑るため、拡張がスムーズです。ゲージが大きくなるほど重いので拡張後そのままにするのには向いていません。
00Gを目指すなら奇数の拡張器がおすすめ
拡張器は基本のゲージに対応する2つ飛ばしのサイズでしか売られていませんが、探せば奇数の拡張器が売っています。
奇数の拡張器
いままで「拡張意外と楽勝だな〜」と思っていた人も、2Gから先は2mm間隔の激痛が待っています。
2Gから00Gにするには、2G→0G→00Gという約2mm間隔の壁を2回乗り越えなければいけません。
そこで、奇数の拡張器1G(約7.0mm)と0.5G(約9.0mm)を間に挟むことによって、だいぶ痛みがマシになります。
需要はあるはずなのに、奇数の拡張器はほとんど売られていないのが不思議ですよね。
ステンレス製なら先端を外してピアスとして使える拡張器がおすすめ
拡張したあとにうっかり拡張器を抜いてしまうと「痛くてピアスが入らない」ということを防ぐため、拡張器の一番太い部分がそのままピアスとして使える拡張器がおすすめです。
使い方は簡単で、拡張器をゆっくりと差し込んで一番うしろの太い部分まで到達したら細くなっている先端部分のネジを回して外します。外した部分にフレア(ラッパ状の部分)を付ければ、ダブルフレアのピアスとしてそのまま付けて過ごすことができます。
ピアスの拡張は安定したホールで1ゲージずつが基本!
ピアスの拡張は、安定したピアスホールで、1ゲージずつ順番に段階を踏んで拡張を行います。
また、拡張のタイミングは1ヶ月に1ゲージ大きくするくらいが目安です。
拡張器はほぼ使い捨てになるので、飛ばしたくなる気持ちもありますが、血液や滲出液(しんしゅつえき)が出なくなるまで最低でも約2〜3週間くらい必要です。
「安定していない方が拡張しやすいのでは?」とも思いますが、安定していないと余計な出血や腫れで拡張ができません。
拡張は好きなゲージから始めて好きなゲージでやめられる
元々のゲージが20Gでも、14Gでも、そこから順番に対応した拡張期(エキスパンダー)を使って段階を踏んで徐々に広げていくだけなので、元のピアスのゲージは拡張に関係ありません。
好きなゲージから始めて「このくらいの大きさで良いかなと思ったら」そこでやめてOKです!
拡張をやめて安定させるときは、しばらくはファーストピアスと同じように付けっぱなしにして、ピアスホールに負担をかけないようにさせて完成させます。
▼拡張でしわしわになってしまったピアスホール
軟骨ピアスは拡張に不向き
軟骨ピアスは拡張に向いていません。拡張は基本的に耳たぶ(ロブ)のホールで行います。
軟骨は「骨」なので、無理やり広げようとするとヒビが入って骨折したような状態になります。
耳たぶの拡張でも無理やりすれば激痛ですが、軟骨は痛い上にせっかく安定したホールがほぼ100%トラブルになるとも言われています。
軟骨部分を大きく拡張したい場合は、「ダーマルパンチ」という耳をくり抜く方法で最初からやりたいゲージの大きさにする方法があります。
ダーマルパンチで軟骨ピアスを拡張する(くり抜く)方法
軟骨部分を向こう側が見えるくらい拡張したい場合はダーマルパンチという耳を円形にくり抜く方法があります。
軟骨部分の拡張はトラブルが起こる上に、耳たぶのように徐々に伸ばしていくのは難しいです。拡張できたとしても14G〜12Gくらいが限度です。
ピアスホールの拡張方法
ピアスの一般的な拡張方法は拡張器(エキスパンダー)を使った方法です。
ピアスの拡張は大きいゲージになるにつれて激痛になり、出血が伴うこともあります。
ほとんど使い捨てでお金がもったいないと感じても、フリマアプリなどで出品されている知らない人の使用済みの拡張器を使うのは、万が一の感染症リスクを防ぐため、衛生面でおすすめできません。
これから拡張する人は新品の拡張器を準備しておきましょう。
一般的な拡張器を使った方法と、ピアスで拡張する方法もご紹介します!
ピアス拡張器(エキスパンダー)を使った拡張方法
ピアス拡張の一般的な方法で、先が尖った拡張期(エキスパンダー)を使って、一段階ずつ広げる方法です。
用意するもの
- 現在のゲージよりひとつ上の拡張器
- 軟膏やワセリンなど滑りをよくするもの
- 拡張後のゲージに対応するピアス
- 消毒液
ピアスの拡張方法
- 耳と手を消毒して清潔な状態にする
- ピアスホールにワセリン(※)を塗って滑りやすい状態にする
- 拡張器の細い部分からゆっくりと挿し込む
- 深呼吸しながら徐々に最後の太い部分まで挿し込む
- 痛みが落ち着いたら対応のゲージのピアスに付け替える
※その他軟膏でも代用可能!
滑りを良くするものとしてピアスの消毒ジェル、オロナイン、ドルマイシンなど軟膏も使えますが、コスパを考えると傷口を保湿する意味でもワセリンがオススメです。
▼ゆっくりと拡張器を滑り込ませてください。ゲージが大きくなってくるとミシミシという音がして結構痛いです。
▼重みで拡張器が抜けないように前後をゴムのオーリングで固定します。
拡張後は無理にピアスを付け替えなくても、拡張器を挿したままオーリングで留めて数日過ごしても大丈夫です。
拡張器は長く引っかかりやすいので、痛みや腫れが落ち着いたら負担のないピアスに交換するのがおすすめです。
▼このままだと重みで抜け落ちるので、ピアスに交換するか前側もオーリングで固定しましょう!
ゲージの間隔が2mmになる2G以降はかなり痛みが強く、拡張後も鈍い痛みが続きます。拡張後はホールが傷ついて黄色っぽい滲出液が出てくることがあるので、毎日のシャワーで丁寧に洗浄をしてください。
ボディピアスを使った拡張方法
20Gから12Gくらいまでは、ゲージの間隔が0.2mm〜0.4mmと狭いため、段階を踏んで1つずつゲージを上げていけば拡張器なしでもほぼ無痛で拡張できます。(個人差あり)
いまよりも1ゲージ大きいサイズのピアスを用意して、お風呂上がりなど皮膚が伸びやすいときにゆっくりとピアスを挿しこみます。最初はきつく感じますが、数時間〜数日で馴染んできます。
きちんと安定したホールで、勢いよく差し込んだりしない限りは簡単に拡張できるので、「向こう側が見えるほどは拡張しない」という人や、途中まで大きくしておきたい時にやってみてください。
ピアスの重みを使って地道に拡張していく方法
ある程度(8G〜4G)拡張したあと、さらに拡張したいけど痛みに耐えられない人向けのやり方です。
シリコンタイプのフレアアイレットを入れて、そこに重いピアスをつけておくと徐々にホールが伸びて拡張されていくというもの。
▼「ホールトゥホール(ホールトゥピアス)」とは、空洞のピアスの中にリングピアスを通す付け方
この方法だと徐々に拡張されるため、拡張するときのミシミシという痛みが軽減されますが、拡張器を使うよりも穴が下に伸びて下側の皮膚が薄くなってくる可能性もあるので、様子見しながらやってみてください。
もし耳たぶの下の方が薄くなってきていると感じたら、中断してください。
重みで拡張するといまが何ゲージなのかわからなくなってしまうので、できれば拡張器を使って大きくしていくのがおすすめです。
2mm間隔の拡張がどうしてもできなくて、地道にゆっくり大きくしていこうと思える人は試してみる価値ありです。
ピアス拡張の注意点
ピアスの拡張で、トラブルだけでなくあとから塞ぎたくなった時の注意点などをまとめました。
拡張ピアスは将来塞がらない可能性大
どこまで拡張するかによりますが、00Gくらい大きく拡張したピアスホールは将来塞がらないと思った方がいいです。
ゲージを小さくしたいと思ったら、ピアスを外しておけばホールは小さくなります。
人の治癒力もそれぞれなので絶対ではないですが、穴は残る可能性が高いです。将来もし塞ぎたくなったら穴を肌色のシリコンなどで隠すか病院で縫う治療をするくらいしかありません。
ピアスを卒業して拡張した穴だけ残っている人もときどき見かけます。風水的に言うと体に穴がある状態は風穴から運気が逃げていくという説もあります。
将来好きになった人やその家族がピアス反対ということもあるかもしれません。
皮膚がたるむと印象が変わるかもしれない
耳も皮膚なので、歳をとるにつれて少しずつ皮膚の見た目が変わる可能性があります。
また、見た目だけではなく、ピアスの重みで少しずつゲージが緩んでいってピアスがいつのまにか勝手に抜け落ちやすくなったりもします。
将来的に自分の服装や好みが変わっていって、「自分の服装と拡張したピアスが似合わない」と自分で感じる日がくるかもしれません。
拡張ピアスは偏見の目で見られやすい
ピアスを開けている人の多くはまわりの目を気にしていないという人がほとんどだと思いますが、あえて注意点を伝えるなら偏見の目で見られやすいということがあります。
片耳一個ずつのピアスは一般的になっていますが、普通に開けるだけでも痛いピアスをわざわざ拡張するのでふつうのピアスよりも存在感が出ます。
ピアスを付けない人からすると「痛そう」「なんで?」という感想があることもあります。
拡張ピアスに対しての反応は、男女共に「かわいい」「かっこいい」「同じくらい開けてみたい」「羨ましい」「真似したい」と言われることもありますが、半分くらいは「痛々しい」「どうして?」などなど感想はいろいろあるので、気にせず楽しみましょう( ‘ᾥ’ )
拡張がきっかけでピアストラブルになる可能性もある
いままでせっかく安定していたピアスホールが、拡張をきっかけにトラブルになる可能性があります。特にハイペースな拡張や、ゲージを飛ばした無理な拡張は可能性が高いです!
1ゲージずつ段階を踏んで拡張するのが基本と言われていても、実際は「そんなにゆっくりやってられない!」とハイペースで拡張する人がほとんどだと思います。
ゆっくり拡張していくこと進める自分も、我慢できずに1〜2ヶ月の短期間で18Gから00Gまで拡張してトラブルを経験しています…!
無理なピアスの拡張で起こるトラブル
- 肉芽になる
- 皮膚(ピアスホール )がめくれあがる
- ピアスホールが安定しない
- ピアスホールが裂ける
- 完成したホールがいびつ・シワシワになる
ピアスの拡張は自己責任で、多少のトラブルやリスクも踏まえた上で「ピアスが好きだから拡張したい」と思う人はぜひ拡張にチャレンジしてみてください!